20年前、何をしていたのか
明け方の5時過ぎ、まだ大阪の実家住まいだった私は、夢の中にいた。
夢の中で、突然、
ズドーーン!
落ちる衝撃の後、周囲のすべてがガタガタと揺れ出した。
それは、夢ではなく、現実だった。
目を覚まして布団からそろりと起きたところで、父が部屋の戸を開けた。
「いつでも外に出られるように着替えて。貴重品をまとめて」
いつもとは違う、緊迫した声だった。
父は母に、風呂に水をできるだけ貯めるように指示した。そして、さらにガスの元栓が閉まっているのを確認し、マンション特有の重い鉄の玄関の戸を少し開けて、閉まらないようにストッパーで止めた。
ベランダから、西の方角を見ると、夕方のように空が真っ赤に染まっていた。
家の中を確認して、ガラスが割れるとか、特に被害は見当たらなかった。すっかり目が覚めて、テレビを付けて、ずっと地震のニュースを見守っていた。
近所の消防署からは、サイレンの音が鳴り響いては遠ざかり、また鳴り響いては遠ざかり…を繰り返している。
当時、仕事を辞めて無職だった私は、その二週間後に、海から神戸へ向かっていた。パソコン通信で知った、神戸での震災ボランティアに参加するためだ。
平日は神戸に泊まり込んで救援物資の仕業をし、週末だけアルバイトのため大阪に戻る生活を、3ヶ月間続けた。
あれからもう20年、経ったんだなぁ。当時の状況は、まだ皮膚感覚的に覚えています。